一つの認識描像

小さい頃に見る、非常に大きな物

子供の頃に不思議な体験をした人は多いかと思いますし、私もその一人です。今の考えでは、それは認識の問題だったと考えているのですが当時は驚いたものです。具体的には、幼稚園の頃に見たジュースのサーバーが自分の身長の何倍もある大きさに見えたというのものです。中学生になる頃までは実体験だったと信じていたのですが、自分の考えを変える出来事が訪れます。ある日、当時の友人が自分に不思議な話を聞かせてくれました。それは、彼が幼少期に人の大きさほどのあるトンボを見たという話です。誰に話しても信じてくれないと言っていました。当時のわたしは若く、その話を真実だと受け入れた上で、突然変異体だとかメガネウラの生き残りだとか、地球外生命体が地球上の生命に馴染み深い姿をして偵察に来てる(古代宇宙飛行士説の影響を受けていたのでしょう...)だとか、ともかくそういった類の「可能性」を色々と考察して盛り上がっていたものです。その後、何事もなく暮らしていたのですが、どこからか興味深い話を耳にしました。これは通りすがりの赤の他人の話が聞こえてきただけなのですが、手のひらほどの大きさのテントウムシを子供の頃に見たという内容でした。そこで、「ひょっとして、皆小さい頃にはものが実際よりも大きく見えるような認識の歪み(脳の未発達が原因でしょう)を持っているのではなかろうか」と思ったわけです。自分は脳の専門家でもないので詳しいことは全くわかりませんしデータ数も少ないので断言はできませんが、可能性としてはあるのではないかと思いました。もしこれが正しいとしたら、なかなかおもしろいですね。おそらく小さい頃には今と見ている世界が全く異なると思います。それらは成長していくにつれて記憶が失われたり、パッケージ化した概念(つまり、言語)によって説明されて、論理的に納得してしまう(と同時に自分が持っていた記憶がすり替わる?)ものです。しかし、なにか巨大なものを見たという記憶はそれらのフィルターをくぐり抜けて長い時間残り、不思議な体験として心のなかに保存されるのでしょう。なんだか、人間は論理では説明できないものをある程度受け入れることができる能力を持っているように感じられます。