一つの認識描像

「暇なのに、時間がない」はいったいどのような状態なのか

今暇かといわれると暇で、でもなにかやるかといわれると時間がない、ということがある方もいるのではないでしょうか。もしくは、いつも暇と言っている割には連絡すると「時間がない」と言う人に出会ったことがあるのではないでしょうか。この矛盾は、それらを適切な表現に直すことによって理解できます。

1. 「暇」とは

一般的に、暇とは「することがなく、時間を持て余している」という状態を指します。しかし、現代においては実はこの意味から外れる使い方で「暇」という言葉が使われていたりします。まず、暇ではない状況を考えましょう。例えば、締め切りが近い提出物が残っていたり、自分の好きなことをやっていたりする状態です。何かに取り組んでいるときに、人は暇であるとは感じません。対して、暇だと感じるのは「何もやることがない」ときだと考えられますが、本当にそうなのでしょうか?時間があれば、将来のために何か勉強をしたり、運動をしたり、新しいことを始めたりすることができるので、「何もすることがない」というのは本当ではありません。つまり、暇であるとは「即急にやるべきこと、または、やりたいことがない」状態であると言えます。自ら進んで、やる気を持ってするようなことがない状態を暇な状態と呼んでいるのです。

2. 「時間がない」とは

では、「時間がない」というのもなにか異なった意味があるのでしょうか。実は、こちらのほうが本来の意味から離れているのです。普通は「ほかにやることがあって忙しい」状態を指しそうなものですが、今やこの言葉は「(提案された行為に対して)優先度が低い、またはやりたくない」という意味を持つことがあります。「時間がない」とは、優先度の問題なのです。実際、本当にやりたいことがあれば時間を作るので、そこまでするメリットを感じられないということを意味します。

3. 共通部分による解釈

つまり、「暇なのに、時間がない」とは、「他にすることはないが、(提案された行為ややるべきことを)やりたくない」という状態であると言えます。他の人がこの状態にある場合は、何かメリットを提示するか、諦めるかが必要です。しかし、もし自分がこの状態にあって、例えば締め切りまでまだ時間があるからといってだらだらと時間を過ごしている場合は(別にそれでも終わるなら良いですが)、とりあえず20秒だけでも取り掛かってみることをお勧めします。人間は、やり始めると意外とやってしまうものです。もしくは、何か趣味を見つけることも良いかもしれません。そうすれば、少なくとも「暇」という状態からは脱却できます。