一つの認識描像

人同士の相互作用は正当性の交換、というアイデア

場の量子論では、ゲージ粒子と呼ばれる粒子のキャッチボールによって相互作用を記述します。まあ、これの詳しい話は別として、人同士の相互作用も、「正当性」をキャッチボールしていると捉え直すことも可能ではないかと考えました。

ここで、相互作用を物理的、あるいは心理的な接近であると捉えます。友達のグループを例にとって説明しましょう。友達になる前は「ただそこにいる複数の人間」ですが、ちょっと話してみたりして、気が合うとか共感してくれるとか、そのような理由で友達になります。例えば趣味が同じとかです。この趣味が同じというのは、「それを趣味としている」という状況を正当化する要因となります。Aさんが「趣味は〇〇だよ。」と言ったとき、Bさんが「あ、私も!面白いよね!」と返すと、Aさんの中で「やっぱりこれは、面白いんだ!」という正当化が生じます。Bさん側も同様です。このように、互いにプラスの正当性を与え合うことによって、お互いの距離が近くなります。基本的なアイデアは、こんな感じです。
反対に、正当性が与えら得なかったり、マイナスの正当性が与えられたりする場合には、2人の距離は遠ざかっていくでしょう。

人を動かすのは、このような個人レベルの正当性だけではありません。ある組織に対する(消極的であっても)存在の正当性を感じているならば、そこに所属することがあります。例えば、学校や会社などです。このとき、「組織」という概念に対して正当性を認識するという構図になり、複数の人間が組織に手繰り寄せられているような感じになります。そして、少なからず組織側から自分の存在の正当性が認識されれば、その構造の中での自己存在は安定化します。対して、組織から必要とされていなければ、安定化は難しくなります。安定した構造が形成されるためには、双方向の正当性の付与が必要です。

自分の存在が社会構造の中で定義されている時、自己存在の正当性を担保するためには、他者からの正当性の付与が必要になります。相対的な指標の中でアイデンティティを定義している場合、自己存在の肯定は他者からの正当性に依存してしまい、自分の中で閉ざすことが出来ません。よって、正当性の自己相互作用で肯定を閉じるような仕組みを作り上げることで、安定して自己肯定が可能となります。ここらへんの話はこの記事を参照ください。