一つの認識描像

ある部屋へと向かう夢

あの部屋へと向かう道中,暗い廊下を通る必要があった.そのとき,異常な存在と出会った.
そう,普通に考えると幽霊である.姿は,あんまり覚えていないが,縦長2mくらいの赤黒い存在?
形はベータのように,足のほうが絞られて頭が丸っこい.それでどうすればよいか分からなかったので,何故か私は挑発した.
そしたらこっちに走ってきて,私の体をすり抜けた.いや,本当は勝てると思ったのだが.
そして,何か劣の認識だったので,今度からはちゃんと対処することにした.
何をしたかというと,手で簡易的に十字を作って対象に認識させた.
するとどうだろう,こいつは効果てきめんである.魑魅魍魎たちが遠ざかっていく.良い防御の術だ.
そうこうして目的地の手前の廊下までたどり着いた.
そこにはまた,気味の悪い人間のブクブクした子供みたいなのがいた.
それは正確に言うと人間ではない.姿も曖昧で,赤い斑の出た人の肌を纏った1m程度の異形といったほうが良いかも知れない.
こいつらも十字でどうにかなるだろう.
そう思って彼らに対して対策を誇示したのだが,彼らは特に退く様子を見せない.
しかし,攻撃されることもなかった.私は,彼らが天使であることを瞬時に悟った.
理由など無い.ただ,そうである.
そして私は,西洋風の音楽室のような部屋にたどり着いた.
そこには,黒い砂が広がってあった.すべて集めると子供が砂場で作る一つの砂山くらいになりそうな量だ.
それらはきれいな劈開面か何かを見せていて,光に当たった部分がその平面に反射してきらきら輝いていた.
砂と言っても,一粒が石ころくらいの大きさであるような,黒い磁鉄鉱のようなやつも紛れている.
こいつらは風に吹かれて渦巻くように,自発的に動くのだ.
それと,猫のような動物たちもいた.これも天使か何かだと分かった.
その後から人がぞろぞろとやってきた.しかしこいつら,まるで天使を理解していない.
皆が皆,私のことを嘘つきのように扱っている.しかしそれも無理はない.状況が違うから.
「やり直せ.もう一度この部屋にやってこい.ただし,道中の化け物には十字を掲げるのだ.」
私は皆に啓蒙した.どうやら聞き分けはよく,群衆はやり直しに戻っていった.
さっきまで部屋だったここも,今は屋外である.私は天使を見たので,空を飛べる.
もう少し高い建物の屋上まで飛んで,そこから戻ってくる人間を眺めようと思った.
ああ,帰ってきた帰ってきた.
そして今度は天使を理解している.こいつは大成功だ.
そしてみんな,きれいに並んで眠っている.そうだろうそうだろう.正しい.
なぜかって,私もそうやって理解したからな.
・・・.
夢から覚めた.
ああ,本当のところは,あんなにたくさんの人間を見たら一目散に逃げるだろうな.