一つの認識描像

夢の世界を無理やり物理的に説明してみる

皆さんはよく夢を見ますか?私は毎日夢を見ています。夢の中では、様々な不思議な現象が起こりますね。いるはずのない場所にいたり、壁をすり抜けたり、変な怪物に追われたりなどなど。そこで今回は、私の夢に関する考察を書いていこうと思います。

1.物が浮く

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夢の中では、物が突然浮いたりします。また、自分が地面に落下しそうになった時に、地面スレスレで浮き上がると言った現象も起きます。これはどのように説明させるのでしょうか。考えられる可能性としては、

1.重力が小さい

2.重力が一様でない、または時間変化する

といったものです。現実では我々は地球に住んでいて、常に一定の(もちろん厳密にはそうではないが)重力を受けています。夢の中での現象を説明しようとすると、このような一定の重力は通用しません。もし重力が弱ければ、何か他の作用(例えば電磁気的な力)などで物が浮きやすくなります。また、重力が時間変化しているなら、ある時刻で重力が上向きになる可能性もあるので、これらの現象を説明できます。

2.うまく走れない、殴れない

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夢の中で何かに追われることはよくあります。逃げなきゃ!と思って足を動かそうとしますが、なんとも走りづらい。そんな経験はありませんか?また、目の前に幽霊みたいな物がいて、対抗するために殴ろうとしたことがあるのですが、思ったように力が入らない。自分の精一杯の力を出しているのに拳に速度がつかない、ということがありました。これらは次の可能性が考えられるでしょう。

1.慣性質量が非常に大きい

2.空気の粘性が大きい

慣性質量というのは、物体に働いている力をその物体の加速度で割ったものです。対して質量にはもう一種類、重力質量というものがあり、物体に掛かる重力を重力加速度で割ったものです。相対性理論を構成している原理の中に「等価原理」というものがあり、この原理は慣性質量と重力質量が同じであるとする原理です。しかし、夢の中で体がやけに重いと感じることはなく、むしろふわふわしているようにも感じられます。つまり、この可能性が正しければ、夢の世界では等価原理が破れていると結論できるのです。人間の脳で作られたこの異質な空間は、現実の物理を再現してはいないようですね。また、空気の粘性が大きくて、単に抵抗力が大きくなるために動きづらいということも考えられます。この仮定のもので「落下寸前に浮き上がる」現象を説明するためには、空気が圧縮されやすいことを仮定すれば良さそうです。

3.場面が急に変わったり、いるはずのない場所にいる

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朝起きてから夢を思い出していると、不連続な2つのシチュエーションを思い出すことがあります。小学生の時に見た夢で、小学校付近に隕石が落下した夢と、大きな館の中でかくれんぼをする夢を見たことがありますが、これらは同じ日に見た夢です。しかも、隕石から逃れようとして状況に絶望しながらも必死に走っている場面から、急に和やかに館の中を探索する場面に変化しているのです。こんなに変なことが起こっているのに、夢の中ではなんの違和感も感じないのですね。また、大学生になったのに、高校の教室で先生に起こられる夢を見たりもします。よほど高校での思い出が苦いものだったと考えられますが、よく考えると、いるはずのない場所にふと存在しているのです。これはどのような可能性が考えられるでしょうか。

1.場面が変わる直前に物質波としての性質を取り戻している

2.時間が正常に進んでいない

まず、1.についてですが、これは量子力学的な視点です。量子力学では物体は波として存在しており、観測された時にある座標(の近く)に存在する確率はその波の2乗で表されます。これは波束の収束と呼ばれるもので、なぜこのようなことが起こるのかは説明できていません。(説明できていないのになぜ確率的な議論をするのかというと、これが現実の世界を非常によく記述しているからです。)つまり、自分が確率の波として夢の世界に存在する瞬間が与えられて、その次の瞬間に確率的に空間座標が確定されるなら、この不可解な瞬間移動が実現されることになります。(こんな事を言うと物理学者に怒られそうなので、夢だからこそ言えるということを強調しておきます。)

次に2.についてですが、私はこれまでの不可思議な夢の中の現象を説明する手段として最も強力なものであると考えています。現実の世界では、現在が過去に、未来が現在になるように時間が進んでいきます。この過程は連続的で、途切れたりしていません。しかし、これが夢の中で壊れていたらどうでしょうか?つまり、夢の中では時間の進む速さが変わったり、逆向きに進んだり、飛び飛びに進んだりするとどうなるでしょうか?例えば、午前7時に家にいたとしましょう。身支度をして、電車に乗って学校や会社に到着したとします。ここで、いままで連続的に進んでいた時間が急に飛んで、午前7時にジャンプした場合を考えてみてください。その時、あなたは家にいました。脳内の物質や構造も当時の状態に戻っているので、当たり前のように身支度をしています。急に場面が変わったなど知る由もなく、今日も頑張ろうと思って電車に乗ります・・・。つまり、場面が急に変わったりいるはずのない場所にいること、さらにそこに違和感を感じないことは、時間の不連続性で説明がつきます。この現象だけにとどまりません。たとえば、物が急に浮く現象。これも物体の時間が局所的に逆向きに進むことによって説明できます。うまく体が動かせないと感じるのは、頭の部分と体の部分の流れている時間が異なるために、なかなか動かないと感じているだけだと解釈することもできます。これらのことから、夢の中では時間という概念が崩壊していると結論できます。このことを示唆する、面白い体験があります。皆さんは明晰夢という言葉を聞いたことがありますか?明晰夢とは、簡単に言うと、夢の中で夢だと気づく夢のことです。私が明晰夢を始めてみたのは小学5年生の頃で、その世界が夢だと気づいた原因は、時計が正常に進んでいなかったことです。またその後に見た夢でも、時計が正常に進んでいない光景を多く目にしています。これは、夢の中での時間が無意味なものを示唆していると考えられます。

4.まとめ

夢の中での体験は、非常に不思議で面白いものです。(時には生命の危機に関すると感じるほどに恐怖を覚えることもあります。)これらの不思議な現象を無理やり物理的に説明しようと思ったら、夢の中では物理は通用しないということが分かりましたね。夢の特徴は人それぞれあると思うので、自分の夢の特徴を記録してみると面白いかもしれません。

 

 

ちょこっと英単語:

lucid dream 明晰夢 マスターしようと頑張っているが、なかなかうまく行かない

inertia 慣性 慣性がなかったらどんな世界になるのか想像すると面白いかも