一つの認識描像

「エネルギー」ってのは君たちの世界の概念だろ?うちでは事情が違うんだ

我々は生きていくためにエネルギーを必要とします。これは生物学的にもそうですし、現代技術を支えるという側面でも正しいです。このエネルギーという制約は、私たちの生活を非常に厳しくしていると言えます。もしこの制約を部分的に外すことが出来たらどうなるでしょうか。今回は、エネルギーという概念を持たない自由な世界と、我々が生きていくために必要な舞台を考えて現実逃避をしてみようと思います。

1. エネルギーが必要のない世界は意外と手近にある

まずは、エネルギー制約のない世界の例を挙げてみましょう。エネルギーを必要としない世界では、物体の生成や移動などがなんの力も加えずに発生します。これは例えばあなたの想像の世界や夢、minecraftなどといったゲームなどで部分的に再現されていると言えるでしょう。このような世界では、条件を満たしたり念じたりする必要があるものの、追加の物体が召喚されたり触らずに物を動かしたりすることができます。特に、自由度の高い夢では自分の論理を逸脱しない限りほぼすべてのことがノーコストで可能です。そして、人類が理想とする世界もまたエネルギーを必要としない世界なのではないでしょうか。ここでは必要なものが好きなだけ得られるため争いも起こらず、非常に平和な世界と言えるでしょう。とはいえ、私たちがその存在の基盤を置いているのは物理的な世界(以下、基底現実と呼びます)であり、我々にとって主要な認識世界であるためエネルギーを必要としない世界について真面目に考える人はそう多くないでしょう。それに、エネルギー制約が無ければ多くのことが無秩序に起きてしまいます。そのような世界で我々は生きていけないので、夢などといった世界にはある種の制約が存在するか、部分的にエネルギーを必要としない構造になっていると言えます。どちらにせよ、このような世界では我々の持つエネルギーという概念がそれほど重要ではないといえるでしょう。

2. 力のない夢とソリディティ

見出しに変な言葉が並んでいますが、これらはエネルギー制約のない世界を特徴づけるために私が作った造語です。まずは力のない夢についてですが、これは力がエネルギーの勾配(の負)で得られるので、物体の生成や移動にエネルギーが必要ないのであればその世界には力という概念も存在しないとして、エネルギー制約のない世界を表す言葉として用いています。夢であるのは、基底現実では実現しえないからですね。ただ、夢や想像の世界も基底現実と(同質ではないが)同等の現実であると捉えるなら話は別ですが。次にソリディティです。これは堅牢度や硬さを表す英単語で、基底現実を最もソリディティが高い世界であるとみなします。夢の中だと場面や論理がぐにゃぐにゃで物を生み出したり空を飛んだりできますが、基底現実だと不可能です。つまり、ソリディティは意識による現実改変に対する耐性といったような意味です。私はメンタルが落ち込んでいるときに超能力を使おうと頑張ることがあるのですが、基底現実はソリディティが高すぎてどれだけ念じても何も起きません。悲しい。こんな時には基底現実にいる時間よりも想像の世界や夢の世界にいる時間を合計したほうが長くなるので、戻ってきたときに改めて現実は硬いなあと感じます。少し話が逸れましたが、このソリディティという概念が力のない夢では重要になります。なぜなら、完全に柔らかい世界では先に説明した通り我々は存在できないので、ソリディティは0ではありえません。全体的にソリディティが低いか、または改変しようと試みる空間だけ部分的にソリディティが落ち込むといったことが起きているとして力のない夢の現象を説明します。そして、このような世界では我々の意識というのが本質的な要素として存在しているということになります。基底現実では意識が存在しているということをいうのは難しいですが、力のない夢が閉じているとするならば意識はそこにあり、現実的な改変を引き起こしていると言わざるを得ません。

3. 認識をシフトしてみると

基底現実では余程の偶然が重ならない限り、触っていないものを念じるだけで動かすことはできません。私も時々頑張るのですが、消しゴム一つ動かすこともできないのです。しかし、夢の中なら大男を投げ飛ばすことも、空高くジャンプすることも可能です。我々は基底現実を重要視し、それ以外の世界は現実ではないとして深く考えることはしません。しかし、時間があるときに夢も一種の現実であると認めて逆に基底現実の「異常さ」を考えてみると面白いです。我々はたくさんの世界を持ちえます。もちろん生存のためにはこの世界に存在しなければなりませんが、想像の世界なども基底現実と遜色ない現実であると認識すれば人生がより豊かになるかもしれません。もしくは、基底現実が嫌になってしまうかも?それはあなた次第です。