一つの認識描像

どうしてクレーターはほとんど丸なのか

隕石が落ちてきて,クレーターができます.すると,地面垂直に落ちてきたなら丸いクレーターになりそうですが,斜めから落ちてくれば楕円形になりそうな気もします.普通に考えてみれば隕石が天体表面に対して垂直に衝突することは稀であり,殆どの場合はある程度角度を持って入射してくるはずです.しかし,月などを見てみるとほとんどのクレーターは丸いことがわかります.これは何故でしょうか?

実は,「クレーターは隕石の衝突によって岩石や砂塵が巻き上げられてできる」という説明はやや不正確なのです.隕石はとんでもない運動エネルギーを持っています.なので,これが月表面に衝突した時にはエネルギーが熱エネルギーに変換され,その熱があまりに大きいために表面の構成物質を液化・気化して爆発が生じます.例えば,平らに均した砂場に大きめの石を投げ込む場面を想像してみてください.地面に対して垂直ではなく角度をつけて投げると,普通は砂塵は楕円形に広がります.しかし,隕石が衝突するときは爆発するので,どちらかというと石の着弾点に地雷があるようなものです.このとき,どの方向から石を投げたかに関わらず,砂塵は着弾点を中心として放射状に広がります.そこには円形の窪みができるのです.