一つの認識描像

うるう秒と精度に関する小話

皆さん、明けましておめでとうございます!

 

・・・。

 

え、一日遅いって?いいえ、正しいのは私ですよ。

うるう年とうるう秒

地球は365日で太陽の周りを一周します。これはカレンダーを見れば誰でも分かることですが、実は、毎年6時間ほどずれています。つまり、うるう年とは、6×4=24時間=1日を修正するために、4年に一度日付をずらしているのです。だから、実質今日が正月なのです。

しかし、太陽の周りを回る時間で一秒を決める時代はもう終わっています。現在は、セシウム133が9192631770回振動する(正確には、2つの基底状態の遷移に対応する周期)のに掛かる時間を一秒だとしています。これは原子時計と呼ばれ、非常に正確で誤差がないのが特徴です。あまりにも誤差がないので、今度は地球の公転周期の誤差に合わせて時間を修正してやる必要が出てきます。これがうるう秒と呼ばれるものです。

今後の時計

科学者らはさらに精度の良い時計を探し求めています。未来の時計として、光格子時計というものがあります(2026年に基準に採択される予定)。これにはストロンチウム光格子時計や、イッテルビウム光格子時計などがあり、どちらもレーザー光の干渉によって作られた光格子の中に原子をトラップし、ノイズを徹底的に排除することによって、原子の振動周期を誤差のないものにするという仕組みで精度を高めています。ストロンチウム光格子時計は、すでにセシウム原子時計の1000倍に当たる、300億年に一秒の誤差という精度にまで達しています。

なぜ、こんなにも精度を高めるのか

ここまで精度を高めなくても、別に日常生活で困ることはないです。しかし、科学者らはなぜ努力して高精度の時計を追い求めているのでしょうか。その答えは、「時間」が正確になると、他の単位も正確に測ることができるからです。例えば、「長さ」。前は、標準メートル原基を用いて1メートルを図っていましたが、温度などの関係でどうしても誤差が出ていました。現在はこれらの問題を避けるために、レーザー光を用いて1メートルを測定しています。ここでは、レーザー光の進む速さと、進んだ時間が必要になります。つまり、時間の精度が上がると距離の精度も上がるのです。その他にも周波数の精度が上がったりします。これらの組み合わせや、これらの測定から得られる結果を用いた基本的な物理量の正確な値を求めることができるようになり、物理現象の根源の理解に繋がる可能性があるのです。