一つの認識描像

「食べるのが好き」を突き詰めると、「何も食べない」になった話

おいしいものを食べるのはとても幸せである。これは、ほぼすべての人類に共感してもらえることだと思う。しかし、ここには「満腹」という限界が存在している。いつかの時代のどこかの貴族たちは、この限界を突破するために食べては吐き、食べては吐きを繰り返していたそうである。今の我々がこれをするのはどうかと思うが、不可能ではない話である。しかし、ここにも「金」という限界が存在している。そんなに吐き捨てるほどおいしい食べ物を変えるお金がない。果たして、どうすればよいのだろうか。

私は素晴らしい方法を思いついた。金もかからず、永遠に満腹にもならず、カロリーを摂取することもなく、おいしいものを食べ続ける方法である。それは、「おいしいものを食べているという認識を繰り返す」というものである。困惑している読者もおられるだろう。話は複雑ではない。むしろもっと単純で簡単である。わかりやすい言葉で言うと、味覚を伴う妄想である。今まで食べてきた物の味を思い出すのはやさしいだろう。触感や温度、匂いなども鮮明に思い出せる。そして、その記憶をもとに感覚を再構成するのである。物理的に何かを食べているわけではないが、美味しいものを食べている認識を無限に作り出すことができる。そして、これを行うと満腹という限界が近づいてくるどころか、むしろお腹がすく。満足したら大量に水を飲むと良い。何かを味わった記憶と、腹が満たされているという物理的状態によって、謎の満足感が得られる。

私は大まじめに言っている。実際、この方法で私は多くの幸福を感じてきた。お金はかからない。何かしながらでも可能で、手を汚すこともない。幸福の自己生産はここから始まる。こんなにコストパフォーマンスが高い方法がほかにあるだろうか、いやない。

 

さあ、いますぐ始めよう!

 

とは言ったものの、なかなか難しいという人もいるのではないだろうか。必要なのは、想像力である。想像力を鍛えるためには、私が以前書いた妄想口座を読んでいただければよい。そのうえで、物理的でない認識を自身に許すことが必要である。そこにないものを知覚することは禁止されていない。まずは、リンゴから始めるのがおすすめである。もっとも基本的な食べ物で、味、触感ともに親しみやすい。もちろんほかの食べ物でもよい。一つの食べ物でできるようになれば、ほかの食べ物でもできるようになるはずだ。また、普段から食べ物を食べる時にどのような味の構成をしているか、どのような触感か、舌触りはどうかということを意識すると良い。そして、食べた後にもう一度想像で食べてみるとよい練習になる。

いろいろとおすすめの食材を、腹を満たす用の水とともに貼っておく。