一つの認識描像

異世界の論理と過去改変の、言われてみれば当たり前の関係

我々はこの世界の中に存在していて、論理的な推論を行って日々生活をしています。この論理というのは経験からの帰納なので、もし我々が他の異なる世界に存在していれば享受する論理というのは全く別物になると思われます。このように、我々に馴染みのない論理による異常な推論を個人的に「論理異常」と呼んでいるのですが、多くの論理異常は我々の現実の論理(以下、classical論理体系ということでLcとします)と過去改変(因果異常)を用いることで記述できるということが分かります。

例を見てみましょう。例えば、Aという集合があって、その部分集合Bを考えます。すると、Bの補集合Bcを用いてA=B+Bcと、通常の論理では書けます。では、BでもBcでもないAの部分集合で、空でないものが存在するという世界だとどうなるでしょうか?二つに分けたはずなのに、それ以外のものがあるというのは論理異常です(言っていることは排中律の否定なので異常ではないということもできますが、ここでは異常であると考えます)。この世界について、我々の精神活動の最も根源的な部分である「認識」という言葉を用いて記述してみましょう。

  1. 集合Aを認識する。
  2. Aを、その部分集合Bとそうでない部分Bcに分ける。
  3. このとき、Aを構成していたものとしてB, Bc, Cが認識される(!)。
  4. これらすべてはAの空でない部分集合であり、全て合併するとAになる。

この異常性を過去改変を用いて再現します。ここで、過去改変が我々の記憶に影響を及ぼさない、"都合の良い"ものだと考えてください。

  1. 集合Aを認識する。
  2. Aを、その部分集合Bとそうでない部分Bcに分ける。
  3. 構成2要素(B, Bc)を認識すると過去改変が生じ、元のAはA'=A+Cへと改変される。
  4. このとき、元の集合を構成していたものとしてB, Bc, Cが認識される。
  5. これらはすべて空でない集合であり、合併の際に再度過去改変が生じてA'はAに戻る。

なんともあからさまな例ですが、そのほかの論理異常性を考えてみても過去改変による記述が可能なものがほとんどです。つまり、多くの異世界の論理というのは、Lcと因果異常の組み合わせで記述できそうだという予想が立ちます。もしそうだとすると、なかなか面白い話ですが、実はよく考えてみると当たり前の話だったりします。

まず、仮定αを考えます。これをLcで推論すると結論βを得るとしましょう。次に、異世界の論理体系L'で同じ仮定αから推論を行って結論β'を得るとしましょう。この時、もしLcでβ'に写るようなα'が存在すれば、α→(改変)α'→(Lc)β' としてまるで合成写像のように異世界の推論を構成することが出来ます。つまり、異世界の論理構造を調べるというのは、過去改変の性質と構造を調べるということに他ならないのです!

さて、もちろん過去改変で表現できないものもあると思います。例えば、我々が如何なる仮定から推論してもたどり着けない結論などです。これはあまりに異常すぎて今の私には到底理解できないですが、その存在を否定することはできません(Lcを超越した思考を行っているので、「論理的」に考えてはならない!!)。このような論理異常性のクラスをBCA(Beyond Causal Anomaly)と呼ぶことにします。果たして我々は、BCAの片鱗を見ることが叶うのでしょうか・・・?