一つの認識描像

研究者になりたい大学生が焦って勉強して消化不良に陥ってしまう理由

これはおそらく、典型的な若者の将来に対する悩みと自己アイデンティティの問題だと思うんです。研究者になるためには学問に対する深い知識が必要で、そのうえで自分の専売特許と呼べるような研究トピックが必要。この必要性を認識していると、今の自分にそれが無いというのはやはり不安要素になります。それに、大学生にもなると周りに自分より優秀に見える人がたくさんいて、その中でアイデンティティを確立しなければならない。そのためには、どうにか自分だけが先に進んで専門的な知識を身に着ける必要がある、と感じるのも理解できるでしょう。特に研究者というのは実力を伴った個性が必要で、他の人が自分よりも先に進んでいて自分はその人の単なる劣化であると考えるのは、将来に対する不安とアイデンティティの問題も相まって耐え難いものです。

こうなると、消化不良であってもどんどん先へ先へと勉強を進めてしまうということが起き得ます。少なくとも私はその一人でした。もちろん学問は楽しいのですが、やはりこのような状態で続けていくのは辛いと感じてしまいます。将来を見据えて頑張っている人の中には不安を感じやすいタイプの人も多く、その場合、余計にメンタルに悪影響があるかもしれません。

それじゃあどうすればよいのか、というと、正直分からないです。私はある意味で生きるのを諦めることによってこの問題を解決し、今は純粋に学問を楽しんでいます。しかし、この方法は万人に受け入れられるものではありません。人生はトレードオフなので、何かを得ようとすると何かを捨てなければなりません。そのうえで人生は不確定なので、失敗してもそれはそれでしょうがないと考える必要があるかもしれません。

私はここにいくらでも無責任なことを書くことはできますが、結局人生人それぞれなのであまり適当なことを書かないほうがよさそうです。それでは。