一つの認識描像

指数2の部分群は正規部分群

 Gの指数2の部分群 Hというのは、 G/Hが二つの元からなるということです。例えば、元  x\in Gが定める同値類は xH=\{xh\in G\ |\ h\in H \}です。2つの同値類は、そのうちの一つの元だけでも共通で持っていれば完全に同一で、つまり異なるなら共有される元はありません。なので、指数が2であるという条件から、うまく xを選べばG=H\oplus xHと書くことが出来ます。一方は代表元として単位元をとれるもので、もう一方はそれと異なる同値類を与えるxによるものです。

さて、ここからH正規部分群になることを見ましょう。つまり、 gHg^{-1}=Hが任意のg\in Gに対して言えることを示します。任意のg\in Gは、直和分解になっているHまたはxHのいずれかに属していることになりますので、それぞれの場合を見てみましょう。

 g\in Hのとき:このときは、gH=Hとなります。Hは部分群なので演算で閉じているからです。逆のHg=Hも成り立つので、結局Hg=gH\ \to\ gHg^{-1}=Hとなります。

 g\in xHのとき:このとき、 x^{-1}g\in Hです。この条件を用いて、任意のh\in Hに対してghg^{-1}\in Hとなることを示します。そのために、逆を仮定して矛盾を導きましょう。仮にghg^{-1}\in xHとすると、x^{-1}ghg^{-1}\in Hとなります。この時、最初の2元の積x^{-1}gは上の条件からHに属するので、x^{-1}gh\cdot g^{-1}の前半はHに属します。さらに、全体の積もHに属するので、g^{-1}\in Hが分かります。Hは部分群で逆元を持っているので、g\in Hが分かりますが、これは g\in xHであることに矛盾します。なので、ghg^{-1}\in Hが分かります。ここから、\ gHg^{-1}=Hとなります。

全体の流れをおさらいしておきましょう。とにかく指数が2なので、群Gは二つの交わらない部分H,\ xHに分けることが出来ます。よって、任意のg\in Gはそのどちらかに属していることになり、どちらの場合を考えても\ gHg^{-1}=Hが結論できるということです。

 

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