一つの認識描像

光合成する人工の葉!?二酸化炭素を燃料に変える技術とは

皆さんは地球を大切にしていますか?今までの記事で、エネルギー問題に焦点を当てた記事(水素生産に新たな触媒!商業的な規模も視野に - (興味)|知識>)や、環境汚染に関する記事(分子の檻で有害物質をキャッチ!さらにそれを利用する技術とは - (興味)|知識>)がありますが、今回は両方同時に解決する可能性を秘めた研究を紹介したいと思います。なんと、二酸化炭素を燃料に変える技術が開発されたのです!

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二酸化炭素のイメージ図。温暖化の一因ではないかと言われているが、最近は否定的な意見も多い。

1.植物の光合成を模倣!二酸化炭素から燃料を合成する方法

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「人工の葉」。植物から着想を得て作られた。 Credit: Virgil Andrei

ケンブリッジ大学のReisner氏と共同研究者らは、二酸化炭素と水から合成ガスを生産する、「人工の葉」を開発したと発表しました。この葉はまるで植物と同じように、日光を用いて化学反応を起こします。さらに、使う栄養素も水と二酸化炭素です。しかし、酸素を発生するのではでなく一酸化炭素と水素の混合気体である合成ガスを発生します。実はこの合成ガスは日常生活の様々な場面で使われています。例を上げると、これをもとにした液体燃料やプラスチックはもちろん、農業で使う肥料や、治療用の医薬品の材料にもなっています。このような有用なガスを二酸化炭素から作ることができるのです!

2.人工の葉を実現する仕組みとは?鍵はやはり触媒にあった!

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葉の画像(本物)。光合成のための複雑なシステムを持っているのは、神秘的である。

それでは、この「人工の葉」はどのような仕組みになっているのでしょうか。この葉には2つの光吸収装置があります。葉を水に浸すと、一方の装置が触媒を用いて酸素を作ります。そして、もう一方は、二酸化炭素と水を使って、一酸化炭素と水素を作り出す化学反応を起こします。この混合気体は、現在使われている合成ガスに他なりません。これらの反応を起こすのには、触媒が不可欠です。ここで使われている重要な触媒は2つあります。一つは、ペロブスカイト(灰チタン石)を用いた最先端の触媒で、光吸収装置に使われています。もう一つは、地球上に豊富にある金属である、コバルトです。採用理由はだた安いからというだけではありません。なんと、プラチナや銀よりも、一酸化炭素の合成においては効率が良いのです。この「人工の葉」は、どんよりした曇り空の下でも、雨の中でも働くことが分かっています。この技術が進歩して実用化されれば、地球のエネルギー問題と温暖化を同時に解決できるかもしれませんね。

 

 

ちょこっと英単語:

overcast どんよりした 天気に関する表現は、意外と知らないものが多い

state-of-the-art 最先端の 最近の科学誌ではよく見る印象。流行ってるのかな?